ざっくりまとめると「紋章の元ネタが大アルカナである説明をしてから、大アルカナの意味見ながら紋章持ちキャラの設定とか見ていこうぜ」って話。
作中で紋章持ちは雰囲気がある、とか言ってましたがほぼその通りの結果になっています。
※プレイ後に読むことを強く推奨します。
紋章は大アルカナである
限定版特典の設定画集から読み取れます。作中でも「死神」については目視可能。

「ZL:天刻の拍動」のちょっと上あたり。
「DEATH」「ゴーティエの紋章」「ⅩⅢ」が見えないだろうか。
ちなみに「セイロス=Ⅱ」については文字が細かすぎてつぶれちゃってます。
(限定版特典の設定画集から読み取れるのは「マクイル=Ⅰ THE MAGICIAN」、「セイロス=Ⅱ THE HIGH PRIESTESS」、「ゴーティエ=ⅩⅢ DEATH」、「インデッハ=ⅩⅣ TEMPERANCE」、「獣=ⅩⅤ THE DEVIL」の5つ。資料集ではつぶれているセイロスの文字などカード名に当たる文字も全て確認可能ですが、勝手に写真上げると怒られる予感しかしないので自粛します。)
また、紋章の話をしているときに流れているBGMの曲名は「アルカナコード」です。
紋章と大アルカナの対応について
まず、クリア後データ引継ぎ特典の「紋章アイテム」の並び順に、紋章を並べます。


この順番は、「PLAYER PHASE」「ENEMY PHASE」の裏に出ている魔法陣的なあれの周囲に配置されている紋章の順番と同じだったりします。
次に、アイテム名を紋章の名前に置き換えて、上から大アルカナを番号順に当てはめていきます。
すると、こうなります。

公式の資料集から読み取れる「マクイル」「セイロス」「ゴーティエ」「インデッハ」「獣」の番号が見事に一致します。
ここで、「21 世界」だけ対応なしとなるので、ここに炎の紋章を当てはめます(説明に「世界を司る」と書いてあるため)。
力と正義の順番について
タロットにはいくつか種類があります。その中でメジャーなものが2種類あります。「ウェイト版」と「マルセイユ版」です。二つのおもな違いは以下。
- 力と正義の順番が異なる。ウェイト版は力が8、正義が11。マルセイユ版は逆。
- 死神のカードのデザイン。ウェイト版は名前の枠があり、ほかのカードと同じような感じで名前が書いてある。マルセイユ版は名前の枠がなく、名前は書かれていないか、カードの端にちょこちょこっと書かれているだけ。
- 小アルカナのスートカードの絵柄。ウェイト版は絵札、マルセイユ版は数札。
タロットをモチーフにした作品でもウェイト版をもとにしているものとマルセイユ版をもとにしているもの両方があります。
風花雪月の場合、公式の言及がありませんが、ウェイト版をもとにしている可能性が高いです。
ゲーム内ではっきり見えているのが「死神」だったのがポイント。死神の上に他のアルカナと同じように名前が書かれています。(限定版画集より、女教皇なども同じデザイン。)
死神が他とアルカナと同じデザインであることから、ウェイト版であると考えられます。以下、この記事では風花雪月はウェイト版をもとにしているものとして進めます。
各大アルカナの意味とキャラとのつながり
タロットは人や状況、周りのカードによって意味が変わります(ネットで調べてるだけでもたくさん出てきます)。特に逆位置はいろんな意味の取り方があり、人や本によって全く違う意味がのっていることも結構あります。「風花雪月に一番近いもの」を選んでのせたつもりです。カードはここで紹介する意味だけを持っているわけではありません。
タロットカードの絵柄の話もするので、ウェイト版タロットの図柄を引用しています。
一部除いて逆位置になると悪い意味になるカードが結構あります。逆位置部分など悪い意味の部分はだいたい「悪い特徴や短所が意味に対応している」という話です。
…注意書きはこのへんにして、世界→女教皇→力→月→その他タロットの番号順で見ていこうと思います。
ⅩⅩⅠ 世界(炎)

正位置:勝利、夢の実現
逆位置:あと一歩のところで挫折する
英語表記:THE WORLD
月桂樹に囲まれた女性を人間(天使とする説もあり)、鷲、獅子、牛が取り囲む。
自分のなすべきことを見つけた状態を表す。
女性に性別はないとする説があったり(これはだいたい女性が描かれているのだが男性が描かれているものもあるためとされる)、最強の大アルカナと言われることもあったりします。
「最強」については他の紋章と比べて少し大きかったり、特別扱いされていたりといったのにつながる部分が。中央の人物の性別が不明なのはベレスの性別が選べることにもつながりそうです(もっとも、ルフレとかカムイとか主人公の性別は選べることが多いのだが)。
ソティスはエジプト神話において牛をご神体としていた時期がある模様(諸説あり)。鷲と獅子は説明不要として、人間を同盟とみると主人公のまわりに三つの勢力と教会(ソティス)がいる、ととらえることもできそうです。(エジプト神話ではソティスはシリウスの神とされます。実際に曲名にシリウスが入っているBGMが存在するため、エジプト神話から取られたものとして扱いました。)
意味のほうを見ると正位置はベレス(と紅花エーデルガルト)、逆位置はエーデルガルト(紅花以外)に対応しています。(なすべきことを見つけた状態、については両者に当てはまる)
正位置のときは不可能を可能にする力を秘めたカードでもあったりします。逆位置になると失敗する、挫折するといった意味が強めに。
正位置の場合は出たらラッキーなカードとされることが多く、ハッピーエンドを示すカードでもあります。(逆に逆位置だとバッドエンドを示すカードになります。)
Ⅱ 女教皇(セイロス)

正位置:直観、真実、インスピレーション
逆位置:間違えた道を進む、閉鎖的
英語表記:THE HIGH PRIESTESS
教皇は男性のみとされる中での「女性の教皇」は反宗教的な存在。女性の教皇は存在しないため、「現実にはあり得ないもの」を意味することも。
「物事の本質を見極めよ」という意味を持つこともある。
牛の角でできた月の形をしたものが二つついた冠を被った女性。足元にも月が描かれており、これは「目に見えるものだけが真実じゃない」と伝えているかのよう。(これは月の意味にも通じます。)
世界の周りにいる牛を「ソティス」と取りましたが、それをもとにすると「女神(牛)を倒して角を冠にした」、と取れなくもない。(もっとも、この冠が初登場するときはまだ倒してはいないのだが。)
白い柱(J)と黒い柱(B)は光と闇を表します。これは世界の二元性(白か黒かはっきりさせる)を表しています。
意味ですが、エーデルガルトが正位置、レアが逆位置とみるとそれっぽい意味が並んでいます。
正位置は「直観を信じて進む」。「セイロス教ヤバい」という直観に従って行動するエーデルガルト…とみても面白いかも。
正位置の意味やカードの絵の解釈はエーデルガルトそのものと言ってもいい感じです(反宗教的な存在とかね…)。
逆位置になると閉鎖的など反対の意味が出ます。

セイロス教の教えは逆位置の意味そのもの(クロードの視点から見れば、だが)。レアの職権乱用を「道を間違える」だとすれば(エーデルガルトを正位置そのものとするのであれば)レアは逆位置そのもの。
ジェラルドについてはレアが「血を分け与えた」ため紋章を持っているものと思われます(そのためか、意味に通じる部分はあまりありません)。
Ⅷ 力(ブレーダッド)

正位置:欲望を抑える、強い意志、逆境を乗り切る
逆位置:暴力、本能に流される
英語表記:STRENGTH
無防備な女性が獅子の口をおさえている。
この獅子は本能的な力や欲望を表している。
このカードの伝えていることは「力をコントロールすること」、「内に秘める欲望といかにして付き合うか」。
女性が描かれていることからもわかるように、文字通りの力を示すカードではありません。
人間には人間の側面と動物の側面の両方があること、そしてそれに気づくことを示します。しかし、女性がいなければこの二つをつなげることはできないようです。

(ちなみにこれは支援Aであり、女性(ここではベレスと取る)によってつなげることができたあとの状態。)
正位置は力をコントロールしている様子、逆位置は力…もとい獅子が暴走していて自分が抑えられなくなっている状態を示します。
女性が暴れる獅子の口を押さえている構図から、「獅子を押さえるのには女性が必要」という解釈も。「ディミトリの力の暴走を抑えるには、ベレスの存在が必要」と取ることもできそうです。(世界の中心の人物は諸説あるとはいえ女性で描かれることが多いので、力に描かれている女性をベレスと取ってみました。)
第一部前半と第二部後半が正位置、それ以外(第一部後半から第二部前半)を逆位置とみます。EPで言うなら、EP8までとEP18以降が正位置で、EP8からEP17まで(と青以外の第二部)が逆位置のイメージ。
また、王は怪力の設定もこのカードの名前「力」から取られていそうです。
※戦車、悪魔の項目に補足あり
ⅩⅧ 月(リーガン)

正位置:欺瞞、不安、隠し事をする
逆位置:真実を見出す(明るみになる)、直観に優れる
英語表記:THE MOON
二匹の犬と湖から上がろうとするザリガニがいる光景を月が照らしている。
顔が描かれた月は月の女神であり、壊れた弓を持つとする説もある。
正位置は(日によって形が変わる月のような)不安定さを示します。
逆位置になると湖から上がろうとするザリガニにスポットが当たります。「あいまいな水(湖)から何か(ザリガニ)が出てくる→今まで隠されていたことが明らかになる」。
月は心の状態を表すカードであり、解釈は時と場合により結構変わってきます(ただ、正位置の不安定なイメージや逆位置の明るみになるイメージはどの解釈でも同じです)。クロードに近そうな解釈を列挙すると…
正位置:腹の探り合いをする、黒幕がいる、情報操作をしている
逆位置:隠していたことを人に話したくなる、黒幕に早めに気が付けてよかったと思う、夜明けを迎える
カードのメッセージ:不安定な感情に流されるな
カードのメッセージや逆位置の意味にある「直観に優れる」はクロードの性格を示しているかのよう(カードのメッセージに近い内容がよく人気投票のコメントで書かれている)。(「直観に優れる」は隠されているものから真実を見出すイメージからの発展と思われる…のだが。)
腹の探り合いは対ヒルダ支援会話にそれっぽいものがあります。
残りについては、金鹿のストーリーに関わるものです。まずは、正位置(第一部)から。

闇に蠢くものの存在や、白きものの正体が明かされていない第一部。このときそれらの事実は湖の中。
黒幕(闇に蠢くもの)がいることや情報操作(ゴーティエ付近のレアを参照)もまた、これらの真実を隠すためのもの。
あいまいな湖の中に隠されていて、手がかりがどこにあるのかはわからない状態。
続いて逆位置、第二部。

解釈のひとつの黒幕関連からひとつ。
月の絵のザリガニを闇に蠢くものやレアのことだとすると、第二部でその事実が明るみになるのは逆位置の「湖から上がってきた」に当たります。
あいまいなもの(闇に蠢くもの、レアの正体)が明るみになり、月は沈み、夜明けを迎える。夜明けの解釈は次の番号のカードが「太陽」であることの影響もあるかも。
隠していたことを話したくなる、についてはクロードの野望関連。
クロードの野望もまた、月の「人に話したくないこと」のひとつだったのかもしれない。
Ⅰ 魔術師(マクイル)

魔術師の前には「杖(火)」「聖杯(水)」「金貨(地)」「剣(風)」が置かれ、四大元素を示している。
魔術師は四大元素を前にして、何か新しいものを生み出そうとしている。
マクイルの説明「魔道の祖とも称され、ありとあらゆる魔道を使いこなしたという。」からもマクイルが魔術師であったことは想像がつく。

外伝のセリフから、ものを生み出していたことも読み取れたり。この「神聖武器をたくさん作った」も魔術師の意味から取られているんじゃないかなあ…。
Ⅲ 女帝(ドミニク)

正位置:豊かさ、努力が実る
逆位置:奪われることへの恐れ、浪費
英語表記:THE EMPRESS
豊かな大自然に囲まれる中で、一人の女帝が座っている。
女帝が身にまとうのはざくろのドレスであり、足元に置かれているのは金星(ヴィーナス)のマークが描かれた盾。女性的な優しさを表現したカードでもある。
若干過去話より。アネットが士官学校に入学することは、これまでの努力が実った結果であると取ることができます。

実りを得るとき、心身ともに満たされた状態になることができるのです。
人間関係についての占いのときであれば、心温まる関係を築くことができる、お互いに助け合う関係、といった意味に取ることもあります(これはアネットとメルセデスの関係に対応)。
逆位置は「満たされない」思いから不安定な状態になっていることを示します。
そんな逆位置の意味の一つである浪費についてなんですが…

これ、浪費に取れなくもない気がするんです。アネットにとっては欲しいものなのかもしれないですが、果たして本当に欲しいものだったのだろうか?
Ⅳ 皇帝(フラルダリウス)

正位置:理想のために戦う、考えを主張、父
逆位置:身勝手にふるまう、人の意見を聞かない
英語表記:THE EMPEROR
権力者である皇帝は、王笏を手に王座に座る。
野心と行動力、リーダーシップをもって社会を支配する。
女帝が女性的な意味が強いカードなのに対し、こちらの皇帝は男性的な意味が強いカードです。
正位置はロドリグにまつわるものが多めです。人間関係に関するもののときは「安定」という意味を持つことから「長い友情関係」という意味を取ることもあり、この解釈は蒼月のロドリグに当たります。
文字通りの「父親」という意味もあり、ここから「父親の影響を受ける」という意味を取ることもあります。
逆位置は意見を聞き入れず、独断で動く皇帝の姿(持っている力を十分に生かしきれない、という解釈もあり)。フェリクスについては若干逆位置の意味が強いです。

その「皇帝」という立場からか、エーデルガルトに通じる部分も地味に多いカード。エーデルガルトの対応は「女教皇」と「世界」で「皇帝」に対応しているわけではないのですが。
Ⅵ 恋人(セスリーン)

正位置:恋、出会い、選択する
逆位置:決断を避ける、自分から動きたくない
英語表記:THE LOVERS
向き合う男女(アダムとイヴらしい)を上から天使(ミカエル)が見守っている。
決断しなければ恋は始まらないように、選択することを示す。
英語は複数形なので「恋人たち」と訳されることもあります。
もちろん、文字通りの恋という意味もあります(フレンのプロフィールの好きなものに「恋愛話」があったりするのはおそらくここから)。
しかし、この恋人にはもっと重要な意味が。
それは、「二者択一」。
天使から男女を見ると、天使は男を選ぶか?それとも女を選ぶか?に見えないだろうか。

対リシテア支援会話Aにおける二者択一は恋人が示す意味そのものだったり。
そう考えると、フレンよりはリンハルトっぽい意味が強いカードかもしれない。
Ⅶ 戦車(ダフネル)

正位置:負けず嫌い、行動する、勝利
逆位置:怒りっぽい、空回りする
英語表記:THE CHARIOT
二体のスフィンクスが引く戦車の上に若き王が立っている。
後ろに国が描かれていることからも、この王は愛するものや国を守るために戦おうとしているようだ。
勢いに乗った戦車のように、積極的に一歩を踏み出していくカード。
乗り越える必要のある課題を示していることもあるカードで、自分が何をしたいのか見つめなおせ、というメッセージが込められていることもあります。
番号的には次の大アルカナである力(ディミトリに対応する)とよく似た意味を持っています。例えば戦車を引いている黒と白のスフィンクスは、「理性と本能のコントロール」を示していたりします。一方で、むこうが「コントロールすること」をより重視しているのに対してこちらは「ごり押し」の意味が強いです。ディミトリが精神的に強くなることが課題だとすれば、イングリットは自分のやりたいことに従って行動することが課題になっているような。
イングリットが騎乗職得意であり、かつ、作中においても(ステータス関係なしに)騎乗戦が得意であることは作中で言われている通り。

力に対応するブレーダッドを持つディミトリ(含むファーガス王家)が怪力であるように、この設定もまた対応する大アルカナが戦車であることから取られているのかもしれない。
Ⅸ 隠者(グロスタール)

正位置:一人で悩む、未来を考える、静かに暮らす
逆位置:見栄を張る、陰湿、本当の気持ちを認めたくない
英語表記:THE HERMIT
暗い中を進む隠者は下を向き、孤独に内面を磨く。
ランタンを手に心の中を進み、これまでの旅を振り返る。
学問に強いカードです。ただ、一方で名前「隠者」の名の通り引きこもるイメージもあります。
正位置はリシテア寄り。短い命のことを一人で悩み続ける(※もうひとつの紋章「塔(カロン)」の意味に通じる部分があるため、詳しくは塔の項目で)。

隠者の意味が強く出ているのはエンディング後。貴族の地位を捨て、穏やかにひっそりと暮らす道を選ぶ。
「未来を考える余裕はない」と言いながらも、「貴族の地位を捨てる」という未来をわりと序盤から決めていたキャラでもあります。
逆位置はローレンツ寄り。

貴族としていかにあるべきかを優先し、自分がどうしたいかは後回し。「自分のことを話せ」と人に言いながら、自分の気持ちは人には見せない(対リシテア、対マヌエラ支援会話参照)。
ただ、リシテアが100%正位置でローレンツが100%逆位置なのかと言われるとそうではないのです。リシテアも自分の気持ちにふたをすることがあるし、ローレンツは同盟の未来を意識している、とどちらの位置の要素も持っていたりします。(どっちの要素がより強いか?の違い。)
隠者は逆位置の解釈がかなり割れるカードでもあり、「引きこもり」「現実逃避」の意味を持つこともあります。
Ⅹ 運命の輪(ゴネリル)

正位置:好機が来る、期待しすぎ、運命的な出会い
逆位置:チャンスを逃す
英語表記:WHEEL OF FORTUNE
回り続ける輪は運命を表す。その輪の上に剣を持つスフィンクスが描かれている。
人間は運命の流れに逆らえず、乗るほかに選択肢はない。なるようにしかならないから。
運命の流れに乗れば、チャンスはやってくる。逆らえば、チャンスを逃す。
世界にも出てくる四つの獣とともに、エジプト神話からスフィンクスとアヌビスが描かれています(ソティスもまたエジプト神話の神です)。四つの獣は本を読んでいることから、世界に向けて何かを学んでいるとされます。
「なるようにしかならないから」というイメージを与えることから、努力を怠るといった意味を与えることも…。

自分から首を突っ込まない。自然の流れに任せる。そうすれば、面倒なことは勝手におさまる。
ヒルダのこの考え方は対カスパル支援会話でよく見られます。
このカードは形が輪であるためか、正位置と逆位置の境目があいまいです。正逆はないとする解釈も結構あるほどです。
ⅩⅠ 正義(キッホル)

正位置:公正、公平、正義感をもつ
逆位置:冷静さを失っている状態、えこひいきをする
英語表記:JUSTICE
剣と天秤を持った女性がまっすぐ前を向いている。
女性が持つ「天秤」は物事を冷静に中立に判断する姿勢を表現している。
正義の女性はよく「お堅い人」と表現されます。その原因はカードの意味(や絵柄から受けるイメージ)にあります。情に流されずに判断せよというアドバイスを与えるカードです。

フェルディナント、セテスともに正位置よりで、特にフェルディナントのこのセリフは正義のメッセージそのもの。
フェルディナントの好きなものに「正義」があったりも。
…セテスの話も少ししておくと、「お堅い補佐役」という立ち位置が正義の女性と似通っている部分かなと。
ⅩⅢ 死神(ゴーティエ)

正位置:死、破滅
逆位置:再スタート
英語表記:DEATH
死による終わりを示す。ただし、死ぬものは人であるとは限らない(人との関係だったり過去だったりすることも)。
何かを終わらせる死神は「断ち切るもの」でもある。死のあとには再生が訪れる。
※解説書によって意味が変わってたりするカードで、これはwikipediaなどで使われている方の説明です。書籍版は別解釈版として別記事で公開しています。
断ち切るべき問題をその死によって終わらせる、という意味が強いカードです。

風花雪月で、かつ死神(ゴーティエ)がかかわっているもので断ち切るべき問題といえば、たぶんこれ。
(死神のカードが出ているときは問題があるよ、という知らせになっていることも…?)
断ち切るものの例として心の傷があげられていることもあります。
…カードの名前が「死神」でどくろの仮面つけてて馬のってる絵だけど死神騎士のことじゃないよ(ものによってはさらに鎌を持っている死神のカードも存在する)。ただ、死神騎士が出てくるステージのワープ床の模様の形がこの紋章の形に似ているので「死神の象徴=この紋章」なのかもしれない。(余談だが、死神騎士の英語名は「DEATH KNIGHT」。)

イエリッツァもまた過去を断ち切ってくれる「死神」を待ち望んでいる…のかもしれない。
※悪魔、審判の項目に補足あり
※「死神」のみ別解釈版を公開しました。
ⅩⅣ 節制(インデッハ)

正位置:節約、現状維持
逆位置:トラウマ、殻に閉じこもる、情緒不安定
英語表記:TEMPERANCE
天使(ミカエルらしい)がカップに入った水を入れ替えている。
天使は穏やかな顔をしており、落ち着いている。
バランスを取るといった意味が強めのカード。カップの中身を入れ替えていることから、反応を起こすとかそういった意味を持つこともあります。
カード名「節制」の名の通り節約の意味を持ちます。インデッハの外伝にレオニーが選ばれている理由はこれかもしれません。
正位置は都会の喧騒から離れて暮らす、きちんと整っている環境といった意味も。このあたりはハンネマンの過去話や掃除好きに関係がありそうです。
ベルナデッタにとって重要なのは逆位置の解釈。

ベルナデッタは殻に閉じこもる。原因は人間関係についてのトラウマ(対ドロテアBあたりを参照)。
節制がもともと持つ「反応を起こす」が逆位置になることで、以下のような意味を取ることができたりもします。
人に対して過剰に拒絶反応を起こす、人の話を聞いていない、話がかみ合わない(一方的に話す)
カードのメッセージ:殻に閉じこもるな

人の話を聞いているようで、聞いていない。相手が話している途中であっても、拒絶反応が起きてしまう。
ベルナデッタの支援会話は、どこかかみ合っていないものがいくつかあります。だいたいはベルナデッタが拒絶反応を起こして妄想をふくらませて、逃げ出していることが原因。
ベルナデッタのトラウマ・引きこもりをきっかけに起こる「反応」の数々は節制の逆位置につながるものが多めです。
…節制の逆位置に引きこもりって意味はないんだけどね。
ⅩⅤ 悪魔(獣)

正位置:縛られる、支配
逆位置:解放される、主体性
英語表記:THE DEVIL
半人半獣の悪魔に人が鎖で縛りつけられている。
悪魔から解放される鍵は正面から向き合うこと。
※逆位置は複数の解釈がありますが、「解放される」方を選びました。(正位置より悪い意味ととる解釈も存在します)
正位置はタロット全カードの中で最もアンラッキーなカードとされます。
正位置のときは紋章に縛られている状態、逆位置になると紋章に縛られることから解放された状態とも取れそうです。

「死神」と「悪魔」は(正位置の場合)不幸なカードと言われることも多いです(イラストが「怖い」ことが多いのもたいていこの二つ)。カードの違いは、外からやってくるものが死神、心の中にいるのが悪魔。
作中での各紋章持ちの共通点を探してみると、「紋章に振り回されている」ことがあげられます。
死神(ゴーティエ)が外部からの評価(紋章の有無で人を判断されること)によって振り回されているのに対し、悪魔(獣)は(紋章で不幸になることはないと証明されているにも関わらず「この紋章を持っている人と関わると不幸になる」などという)人の「思い込み」による部分が大きい気がします。
悪魔が半人半獣で描かれているのは人の人間性と動物性を表すため、と取る説もあります。これは力のカードに描かれている獅子の意味するものと似ています。似た意味を持つ女教皇と月(エーデルガルトとクロード)のように、絵の意味するものが似ている力と悪魔(ディミトリとマリアンヌ)にも共通点がちらほら。
ⅩⅥ 塔(カロン)

正位置:損失、転機、災い
逆位置:悩む、突然の変化、その変化による環境の急変
英語表記:THE TOWER
塔に神の雷が直撃し、人間が地上に落ちていく。
この塔はバベルの塔と取ることが多い。
塔が示すのは固定観念や意識。追い出された人が示すのは、安住していた場所からの追放など。
カロンの紋章持ちがよく雨に降られるだとか、カロンの紋章対応の遺産の名前が「雷霆」なのはおそらくこの絵から。

(雨が描かれているタロットデッキも存在します。たいていは塔を直撃する雷だけですが…。)
塔の持つ意味は正位置でも逆位置でも変わらず、「破滅」です。
どちらの向きでも悪い意味に取ることが多いので、(正位置単体では最もアンラッキーとされる)悪魔以上にアンラッキーなカードとされることも。
意味的な対応だと、「正位置はカトリーヌ寄り、逆位置はリシテア寄り」と取ることができます。
まずは正位置、カトリーヌから。

「王国でお尋ね者になり(もたらされた災い)、王国から逃げ出し(損失)、レアに助けられる(転機)。」
次に逆位置、リシテア。


「闇に蠢くものたちにより紋章を二つ宿し(突然の変化が訪れ)、長く生きられなくなり(その変化により環境が急変し)、短い生の中で何ができるか悩み続けている」と取ることができます。
ⅩⅩ 審判(ラミーヌ)

正位置:社会に貢献する、包容力、過去の苦しみ
逆位置:決心がつかない、叶わない再会
英語表記:JUDGEMENT
天使(ガブリエルらしい)がラッパを吹き、死者がよみがえる。
聖書の「最後の審判」が描かれており、宗教的なカードとされる。
よみがえる死者が描かれていることから、何かが復活する、解放されるといった意味を持つカードです。
「社会貢献」「包容力」についてはメルセデスの将来や性格をあらわしていると取れます。
カード名が「審判(JUDGEMENT)」だからか、「決心したい」という意味も。

今まではずっと決心がつかなかった(逆位置)。けれど、決心したい、新しいスタートを切りたい。そのために、過去に決着をつけに行くことになります。
「過去の苦しみ」「叶わない再会」についてはメルセデスとイエリッツァともにあてはまります(過去話に該当する部分であるため)。ちなみに、正位置だと「再会する」という意味になります。
死者は過去の存在であるから、過去とのつながりが強いカードでもあります。このため、「過去に縛られている」など同じく死んでいる存在である「死神」と共通する意味もちらほら見られます。
(ここで死神ことゴーティエことシルヴァンとの共通点を探してみると、紋章と過去に縛られているという共通点が。イエリッツァが「死神騎士」なのも意外と死神と共通点が多いからかもしれません。カードのイメージは全然違うんだけどね…)
別記事に分けたものなど
もともと同じ記事だったものですが、主にページ読み込み速度改善のため別記事に分けたものなどのリンク集です。
DLCキャラの紋章の話
DLC未購入者への配慮として、DLCに登場する紋章については別記事で公開しています。
また、DLCの巻公開にともない当記事で公開していた「星」は移動しました。
小アルカナとストーリー
ざっくりまとめると小アルカナをストーリーに当てはめたらどうなるだろう?という話です。公式言及がない話なので「ストーリー小ネタ」として公開。こんなのもあるよ程度でお願いします。
以前審判の下にあったおまけ
以前おまけとして公開していたものは内容が古くなっているため別記事とさせていただきました。