今回は縦の区分である「成長のレベル」。キャラの成長と堕落の説明をするのには欠かせない分け方です。
横の区分であるウィングを使っても同じタイプになるキャラを分けたりするのにも使えます。
ifの例を使わないと説明できない部分があるため、ifの話が結構出てきます。入れ子になっているので未プレイでも安心。たぶん。
成長のレベルとは何か
「発達の諸段階」と書かれている書籍もあります。
人がどれだけストレスを受けているか?それとも状態がいいか?を示したものです。
9段階あります。
上からレベル1、レベル2と数え、一番下はレベル9です。
数字が大きいほど精神的に助けが必要な状態、数字が小さいほど成長して調子がいい状態です。
健全、通常、不健全
9つのレベルは3つに分けることができます。
レベル3と4、レベル6と7の間には高い壁があります。
よほどの出来事がない限りこの二つの間を移動することはありません。大きな転機がなければ健全には上がれないし、不健全に落ちることもない。もし動くことがあればたいていそのキャラにとって決定的な出来事が起きています。
風花雪月で最もわかりやすい不健全に落ちるキャラは紅花のレアとディミトリです。それぞれ「ベレスが敵対する」、「炎帝の正体判明」という出来事があって不健全に落ちます。(ともにEP11で不健全入りします。)
紅花のレアは「ベレスに敵対された結果、自分はベレスを追い払ってしまったのではないかと考えるようになる(結果、自分を愛さなかったベレスを処分しようとする)」、ディミトリは「エーデルガルトが炎帝だとわかり、自分が正しいと思ってきたことが間違っていたと証明される(結果、自分と死者の声を正当化しはじめる)」。
健全な状態
最も健全であるレベル1「解放の段階」は根源的欲求を満たした状態です。
レベル1のキャラはほぼ出てこないので、こんなのあるんだな程度の認識でOKです。
レベル1の下にはレベル2「心理的受容の段階」があります。
レベル2は根源的欲求が出てきた状態。
レベル1とレベル2の違いがわかりやすいキャラがifにいるので、紹介します。入れ子にします。
レベル1まで到達した例は、カムイです。
ただし、すべてのカムイではありません。「インビジブルキングダムの」カムイです。
カムイは6w7の主人公。特に序盤は何かを決めるときに人に頼る傾向が見られます。
終章より、カムイのセリフを引用します。
…諦めません…!
ファイアーエムブレムif インビジブルキングダム
どんなに透魔竜が強大な存在でも…
私は仲間を信じます!
そして、ここまで闘い抜いてきた
自分を信じます!
仲間を信じれば勇気になる!
自分を信じれば力になる!
私たちは今までそうやって
闘ってきたはずです!
このセリフにこのときのカムイがレベル1であることの証拠があります。
「タイプ6であるカムイが、自分を信じると言ったこと」。
自分以外の何かに頼らなければいけない、という思い込みを捨てることで根源的欲求である「安全でありたい」を満たすことができるのです。
ちなみに、白夜編と暗夜編のカムイはレベル2です。
レベル3「社会的価値の段階」はその名の通り、社会に役に立つ能力(各タイプそれぞれにある)が出てきます。

(蒼月EP18より、健全なタイプ1の例。レベルは3くらい。)
最初は通常の段階だったキャラが成長してレベル2~レベル3あたりに到達する、というのはよく見られます。(もし最初から健全のキャラがいたら、そのキャラは物語開始前の段階ですでに何かを乗り越えてきているんだろうな、と感じます。)
風花雪月では、蒼月ディミトリのほかに紅花エーデルガルト、フェルディナント、マリアンヌ、ベレスあたりが作中途中から健全に入るキャラ。
通常の段階
通常の段階で最も健全なのはレベル4「不均衡の段階」。
ぱっと見はレベル3と変化のないタイプもありますが、どのタイプにおいても変化は生じています。
このレベルから動き方が明らかに変わるのです。例えばタイプ5の場合、レベル4以下になると「行動に移せるほど知識がない」という恐れが出てきます。結果、通常のタイプ5は知識のため込みに走ります(レベル3以上のタイプ5は、得た知識を用いて社会に役立とうとします)。
レベル5「対人関係支配の段階」はたいていの人はこのレベルの近くともいわれる、9レベルあるうちの真ん中です。

(白雲黒鷲EP1より、通常のタイプ1の例。レベルは5くらい。)
このレベルからより各タイプのよくない面が出てきます。堕落が本格的に始まるため、転回点と呼ばれることもあります。
レベル4とは同じ通常の段階ではありますが、その差はかなり大きいです(さすがにレベル3とレベル4の間ほどではないですが)。一番わかりやすいのはたぶんタイプ3の例。
レベル4のタイプ3は自分を理想の存在に近づけるために努力します(人よりも自分が目立ちたい。人より優れた人でいたいために他人と競う。)。一方のレベル5のタイプ3は自分を理想の存在に近づけようと演技するようになります(よりイメージ、肩書き、社会的立ち位置を重視する。実際の自分ではなくイメージを相手に見せ、わざとらしさを感じさせることもある。)。
風花雪月においてだいたいのキャラはこのレベル5。
各タイプそれぞれの戦略を用いて、環境を支配しようとします(結果、対人関係支配とかいう名前がつけられています)。
レベル6「過補償の段階」。不健全に近づいてきました。このあたりから少しずつやばさが垣間見えてきます。「やばい人」認定される人はここから下のレベルである可能性が大です。
ここからさらに人間関係で問題を起こすことが多くなってきます。
レベル6の例は、第一部のマリアンヌ。

(対フェルディナント支援会話C+より、通常のタイプ9の例。レベルは6。)
人から何かを求められることで自分の平和な世界を壊したくない。人の目をそらし、自分に注目させない。頑固になり、あきらめきって動かないことで自己中心的になっていきます。
悪役で最も多いのはこのレベル付近と思われます。
次から不健全に入ります
さて、ここまでが通常の段階、いわゆる「普通のよくいる人」です。風花雪月でも一番多いのはレベル5のキャラで、あとちらほらレベル4やレベル6がいるくらい。
次のレベル7から不健全な状態に入っていきます。
不健全な状態で重要なのは、「不健全な状態から通常の状態に自分の力だけで戻ることは不可能。誰かの助けが必要である。」ということです。
助けを得られれば通常に戻れるかもしれない(場合によっては健全に飛ぶこともある)、助けを得られなければずっと不健全なまま。(これは蒼月と銀雪のディミトリを比べるとわかりやすいと思います。蒼月が救われた方で、銀雪が救われなかった方。)
不健全な状態に一度入ってしまうと、戻ることは難しいのです。主に悪役ですが、不健全なレベル7で倒されて退場、といったことも多いです。
…もっとも、一番いいのは不健全に入らないことです。不健全キャラが出てこない作品も結構あります。
不健全の段階

(蒼月EP13より、不健全なタイプ1の例。レベルは7~8くらい。)
レベル7「侵害の段階」に入ると、明らかにこのキャラちょっとやばいなと感じます。
主人公キャラが大切な人を失って一時的にこのレベルに入る、といったことはわりとよくあります。
タイプ1の場合は人には厳しくする一方で、自分の行いは正当化。このレベルから自分にとって「絶対」であるもの(ここでは、死者の声のこと)に従うようになります。
レベル8「妄想と衝動脅迫の段階」に落ちてしまうと、普通の人に戻ることができる可能性がさらに低くなります。
いわゆる「狂った人」扱いされるキャラはだいたいこのレベル。
レベル9「病理的破壊の段階」にもなると人の生死が関わってきます。
もはや精神病の段階です。
レベル9キャラが出てくる作品はほとんどないので、こんなのあるんだなくらいの認識で大丈夫です。風花雪月にも出てきません。
ifの暗夜編に例があるので、この機会に紹介しておきます。
入れ子にします。閲覧注意です。閲覧は自己責任でお願いします。
ifに登場するレベル9は、暗夜23章のタクミの飛び降りです。
あの飛び降りはタイプ4のレベル9の末路に当たります。絶望感が深くなったタイプ4は精神的な苦痛から逃れるために、問題解決の手段として死を望みます。
最近もう一例タイプ4のレベル9を見る機会があったんですが、同じような道をたどり最後は自ら死を望みました。
タイプ4の場合、レベル9には「自滅の人」という別名がつけられています。その名の通り最後は、自ら滅びる。
タイプによって自己破壊を選ぶか、人に攻撃を加えるかはそれぞれ。ただ、人の生死が関わる、という点については共通です。
レベル9まで落ちるのはよほどのことがない限り起きませんので、ご安心を。管理人も今のところタイプ4の2キャラだけしか知りません。
成長とストレス
一人のキャラがいたとして、タイプが変わることはまずありません。
ただ、この成長のレベルは「キャラの状態によって上がったり落ちたり」します。
キャラがストレスを受けるとレベルが落ち不健全に近づき、キャラが成長するとレベルが上がり健全に近づきます。
ずっとレベル5のキャラがいたとすれば、それは「成長もせず、ストレスを受けることもなかったキャラ」であることを示します。キャラの成長のレベルがレベル5からレベル3になった、ということがあれば作中で成長したことがうかがえます。レベルが落ちていくキャラがいたとすれば、それは闇堕ちと呼ばれるものです。
次回予告
次回は「統合と分裂」。
健全なときや不健全なときによく起きる現象です。
特にマリアンヌの成長はこれで説明できるところが多かったりします。