今回から9タイプの説明に入ります。
前半は「囚われ」「根源的恐れ」「根源的欲求」についての説明。後半はその三つを中心に各タイプの特徴を見ていきます。
二回目にしていきなり難しい話が出てきますが、ちょっと我慢してください。後半の話を見てから前半に戻るとわかりやすいかもしれない。
そもそもの9タイプとは

もともとはこの図形の名前のことだったらしいですが、今はだいたいこの図形をもとにした性格分析のことをエニアグラムと呼んでいます。
円周上に数字が書いてあります。9つの性格に分ける、と言いましたがその呼び方は「タイプ1」、「タイプ2」といったように数字だけ。
数字だけってきくと最初はわかりにくいと感じるかもしれませんが、気がついたら数字だけで人物像が思い浮かぶようになります。かといって数字だけしか表現方法がないのかと言われるとそうではありません。
それぞれのタイプに別名がついています。一番よく使われるものを紹介します。
これはドン・リチャード・リソという人が名付けたものです。(日本ではだいたい「リソ」と呼ばれています。)
別の名前で紹介している書籍も結構ありますが、一番よく使われているのはこの名前です。
さてここで、数字が大きければ大きいほど強そう!とか思う人もいるかと思います。
が、そんなことは全くありません。ただ違うだけです。
このあと各タイプの特徴を説明しますが、好きなタイプと嫌いなタイプが間違いなくあると思います(管理人にもあります)。ただ、嫌いなタイプを「糞野郎」と言うのは間違っています。ただ違うだけであって、そこに優劣はありませんので。
糞野郎と言いたくなる気持ちはよくわかりますが、そこは抑えてください。
囚われ
囚われは各タイプにあたる七つの大罪とでも言うべきもの。(七つだと二つ足りないから残り二つは足されています)
日本では「囚われ」と呼ばれることが多いですが、たまに「大罪」と訳されていることもあります。
すべての人間がどれかひとつ持っている、というわけではありません。
正確には「人間すべて持っているけれど、ある一つの特徴がよくあらわれる」といった感じです。
正直言ってこの言葉だけじゃ意味がわからないと思います。(文字通りの意味でとるやつと、そうじゃないやつがあります)
とりあえず今は「こういうものがある」とだけ押さえてもらえればそれでいいです。
(風花雪月の作中で、この囚われがこの言葉のまま、そのまま登場しているものがいくつかありますが…まあそれはあとで紹介します。)
根源的恐れと根源的欲求
各タイプそれぞれに無意識に恐れているものがある。これを「根源的恐れ」と呼ぶ(書籍には細かい説明もあるのだが、ややこしいので割愛する)。
この根源的恐れを補うために生まれるものが「根源的欲求」だ。
この「根源的欲求」についてはifに非常にわかりやすい例が存在するので、ここでちょっと紹介しておきます。ifを知っている人であればあーなるほど、となると思います。
カミラの話。
カミラは9タイプではタイプ2「助ける人」に判定されます。
ゼロとの支援会話のBで、こんなやり取りがあります。
ゼはゼロ、カはカミラの発言だ。
ゼ:…カミラ様。あなたは人間が動物を
愛でる理由を知っていますか?カ:可愛いからでしょう?
ゼ:違うんですよ。
自分が愛されたいからなんです。カ:意味がわからないわ。
ゼ:本当は自分が愛されたい。
でも望んでいるような状況は存在しない。
だから動物を愛することで、
自らを慰めているのですよ。
それはカミラ様と
カムイ様との関係と同じ。
あなたは自分という存在が憐れで、
望み通りの愛を受け取れていないと思っている。
だから自分よりも憐れな存在…
つまりカムイ様を標的とし、
徹底的に愛情を注ぎたくなるのです。カ:…だとしたら、何?
ファイアーエムブレムif 暗夜王国
どうしてそんなことを言うの?
カミラは特にカムイを溺愛していて、カムイに愛されるためにいろいろなことをしようとします(支援会話の多くはカミラの「カムイへの愛を伝えること」を手伝う内容)。カムイが関わっていないものでも人に世話を焼く話が多いです。
ゼロとの支援会話はそんなカミラの支援会話の中で「なぜカミラは人を愛するのか?」に突っ込んだわりと珍しいものだったりします。
(あとで紹介しますが)タイプ2の根源的欲求は「自分が無条件に愛されたい」。自分が愛されないことを恐れるカミラが無意識に求めているもの。
カミラは人を愛する裏で愛されたいと思っていることに自分ですら気づいていない。その結果か、このことを指摘してきたゼロに言い返すことができない。
これで長い長い理論説明は終わり。
次の項目から各タイプの「囚われ」、「根源的恐れ」、「根源的欲求」、「よく見られる特徴」をまとめます。最後の「よく見られる特徴」は風花雪月の支援会話から読み取れるものを中心に選んでみました。
ただ、今から説明するのは大まかな傾向。9タイプはざっくりと分けたものであって、さらに細かく分けていくことも可能です。
管理人の独断と偏見で最もそのタイプの特徴がよくあらわれているキャラを選んでみました。
以下のキャラクターを思い浮かべてもらえるとたぶんわかりやすい。
タイプ1:ディミトリ、タイプ2:レア、タイプ3:フェルディナント、タイプ4:ドロテア、タイプ5:リシテア、タイプ6:アッシュ、タイプ7:アネット、タイプ8:エーデルガルト、タイプ9:マリアンヌ。
(※女性キャラ率が高いのはあまり気にしないでほしい。)
タイプ1「改革する人」

囚われ:怒り
根源的恐れ:腐敗堕落し、不道徳で、不完全であること
根源的欲求:高潔でありたい
よく見られる特徴:高い理想や使命感を持っている。真面目で雑務に追われていることも多々。特に親しい人に対して小言をこぼしがち。
いわゆる「堅物」の集まりがこのグループ、と思ってもらって構いません。囚われ「怒り」は作中でたびたび登場(主に白雲青獅子学級~青月のディミトリの描写)。
…もっとも、登場するのはベレスの選択肢だったり、イングリットのセリフだったりとディミトリ本人のセリフではないものが多いですが。
あとこのタイプにはわりとよく使う言い回しがあります。
「~せねばならない」「~すべき」という言い回しを好んで使う傾向があります。
この言い回しをよく使っているキャラはこのタイプを疑ってみてもいいかもしれない。
ちなみに、管理人が見た限り一番よく使っているのはディミトリ。ディミトリはいい意味でも悪い意味でも「タイプ1そのもの」と言っていいようなキャラと言えます(詳しくは後日)。
タイプ2「助ける人」

囚われ:プライド
根源的恐れ:人から求められず、愛される価値がない
根源的欲求:無条件に愛されたい
よく見られる特徴:人に世話を焼く。母親の役割を果たそうとする。所有欲が強い一面もある。
先に注意書き。フレンは判定するのがかなり難しかった(他タイプの要素も多く持っているため)。
世話焼きタイプなのに囚われがプライド、についてはよく見かける質問のひとつ。
タイプ2の囚われは「自分がいなければあなたはどうなっていただろうか」と考えることから生まれます。
「私がいなければ今ごろあなたはどうなっていたことか」「あなたにはたくさんしてあげたよ、だからお返しをして」と高圧的な態度をとるようになるのが囚われになっています。
このあたりは紅花のレアによく見られます。
タイプ3「動機づける人」

囚われ:虚栄心
根源的恐れ:値打ちがない
根源的欲求:価値ある存在でありたい(ほかの人たちを失望させるから)
よく見られる特徴:こうありたいと思っている自分に向かって努力する。もしくは、魅力的な存在を演じる。ぱっと見は自信家。まわりからどう見られているかを気にしがち。
見ればわかるが、多くの貴族らしい貴族キャラがここに入っています。
周りから見て「ふさわしい人」であろうと努力している人たち。
(作中でも言われていますが)まわりから見た自分を重視しすぎるあまり自分の本当の気持ちを無視しがち。これが囚われになっています。
タイプ4「個性的な人」

囚われ:嫉妬
根源的恐れ:自分には存在意義はない、取るに足らない存在であること
根源的欲求:自分自身でありたい(自分自身と自分の生きている意味を見つけたい)
よく見られる特徴:気まぐれで繊細。うわべの自分ではなく本当の自分を認めてほしい。自分に正直に生きたい。親と反発しがち。
たまに「芸術家タイプ」と呼ばれることもあるだけにか、芸術と何かしらのかかわりを持っているキャラが多い。
古典的なツンデレ、ヒロインキャラの多くがこのタイプに当たるためか本来は女性キャラに多いタイプ…なのだがFEシリーズではなぜか男キャラのほうが多かったり(これは風花雪月に限らない)。
内向的なタイプとされていることが多いですが、一定数「外向的なタイプ4」も存在。ドロテアあたりがここに該当。
囚われについて軽く説明しておくと、「自分が持っていないものにばかり目を向けて持っている人をうらやむこと」(自分がすでに持っているものについては見向きもしないことも)。「みんなは安定しているけど自分は欠けているものがある」と感じることが多いです。結果世間的に受け入れらている人に向けて嫉妬を覚えることに。
(管理人のうろ覚えなので軽く聞き流してほしいが)事前情報でシルヴァンの「嫉妬が嫌い」がやたらとアピールされていたのはこの囚われによる部分もあるとみていたり。
タイプ5「調べる人」

囚われ:ためこみ
根源的恐れ:無力で役に立たず無能であること
根源的欲求:有能でありたい
よく見られる特徴:一人でもわりと平気で、自分の世界にこもりがち。自分が理解できたことしか人に教えない。
一言でまとめるのであれば、「引きこもり研究者・学者」。
このタイプの囚われは「未来に備えるためにと自分が有能であると感じられるものであれば何でもため込もうとする」。
たぶんこれは、実例見た方が早い。というわけで、ちょっとリシテアのセリフを借ります。

役に立つものであれ立たないものであれ、少しでも多くのものを蓄えようとする感じ。
…この囚われゆえかはわからないが、タイプ5には読書家が多い傾向もあったり。
タイプ6「忠実な人」

囚われ:不安
根源的恐れ:支えや導きがないこと。自力で生き残れないこと。
根源的欲求:安全でありたい
よく見られる特徴:慎重で責任感が強い。主人に対しては忠実に従うが、反抗的になることもある。常に「何が信用できて、何が信用できないのだろうか」と悩んでいる一面もある。
ひとことでまとめるなら、頼りで信頼になる人。
タイプ1の次によく堅物と言われる一面も。(このタイプには真面目な人が多いからだろう。)
ちなみに、日本人に多いとか言われているタイプがこれ。
タイプ1とは違う意味で青獅子学級を象徴するタイプと言えたり。
タイプ7「熱中する人」

囚われ:貪欲
根源的恐れ:激しい痛みと手痛い喪失
根源的欲求:満ち足りて満足していたい
よく見られる特徴:ぱっと見楽観的で、いつも楽しそう(で、忙しそう)。だがその一方で常に頭を使っていて、ずっと走り続けている。冗談をよく言う傾向もありか?
囚われの「貪欲」は常に満たされることなく何かを求め続けること。(女神の塔のクロードのセリフでそれっぽいものを確認可能。)
たまに書かれていないこともありますが、このタイプの最大の特徴は「頭の回転が速いこと」だったりします。
クロードについては作中でさんざん言われているので説明は不要として、アネットについては一度教わったことをすぐ理解できるあたりにこの特徴があらわれています。ちなみにこれは対リシテア支援会話で見ることができます。
タイプ8「挑戦する人」

囚われ:欲望
根源的恐れ:他の人に傷つけられ、支配されること
根源的欲求:自分自身を守りたい
よく見られる特徴:自信と決断力があり、強情。自分のことは自分でやりたい。敵と味方の区別がはっきりしている。
豪傑、女傑と言われるようなキャラはだいたいここ。
風花雪月においては女性キャラが多いですが、他の作品では男性キャラのほうが多いです。というか、このタイプの女性キャラは結構珍しい存在。
囚われ「欲望」はほぼ文字通りの意味。自分が生きていると感じていたいがために強烈な生き方をしがち。周囲に対抗する意志を見せることもあります(社会的慣習に従わない独立した生き方を望むこともあります)。
…ちなみにその特徴からか、国王のような組織のリーダーをやっているキャラだったりラスボスキャラだったりが多いという傾向もあります。国王兼ラスボスもエーデルガルトに限らず他の作品でもよく見かけます。
タイプ9「平和をもたらす人」

囚われ:怠惰
根源的恐れ:奪われ引き離されるのではないか(長続きしない)
根源的欲求:内面の安定を保ちたい(心の平和を保ちたい)
よく見られる特徴:まわりを和ませる。人の意見に同意しがちだが、一度決めると動かなくなり、意地でも変えない。自分の人生観を持っている。
ここにソティスが入っているのは「ベレスがタイプ9である原因はソティスにあるのではないか」と勝手に考えた結果。人数が多く見えるが実質4人です。
囚われ「怠惰」は文字通りの怠惰ではない。(結果いまいちピンと来ない囚われだと思います。もっとも、リンハルトとか思いっきり作中で「怠惰」って言われるキャラもいるんですけどね。)
このタイプは心地よい状態がずっと続いていてほしくて、変化を望まない傾向があります。問題から目を背けるようになり、動かないことで物事に抵抗するようになります。
あとこのタイプには教えることが好きな人もいて、良き先生になるタイプと言われることもあります。
次回予告
次回は今回紹介した9つの性格を3×3のグループに分ける方法。
3×3のグループに分けると青獅子学級だけ別の傾向を示していたりとなかなか面白いものが見れます。